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ビートたけし主演のSPドラマ【点と線】の原作小説を読んだので、あらすじの結末と犯人のトリックをネタバレします。後味が悪い結末とは?
【点と線】の原作は、あの松本清張さんによる小説。
産業建設省の汚職事件のキーマン佐山(大浦龍宇一)と愛人のお時(原沙知絵)が東京から遠く離れた九州の海岸で死んだ。誰もが心中と思ったがベテラン刑事の鳥飼(ビートたけし)は疑問を抱く。犯人のアリバイ崩すために追った小さな点の数々は線となってつながるのか。
あらすじの結末と犯人のトリックをネタバレするので、SPドラマ【点と線】に興味ある人は参考になったら幸いです。
目次
●「点と線」ビートたけしドラマのキャスト
■「点と線」キャスト
■福岡市の香椎海岸で男女の死体
● 産業建設省の課長補佐・佐山憲一(大浦龍宇一)
捜査二課がマーク中の汚職事件のキーマン
特急『あさかぜ』食堂車に1人で乗っていた?
● 東京の割烹料亭の仲居『お時』桑山秀子(原沙知絵)
■博多東署
● ベテラン刑事・鳥飼重太郎(ビートたけし)
佐山とお時の死に場所に疑問を抱く
● 田中係長(小林稔侍)
■警視庁捜査二課
● 寺崎課長(名高達男)
● 笠井係長(橋爪功)
● 部下の三原紀一(高橋克典)
■佐山とお時の家族
● 佐山の兄
● お時の実家の母・桑山ハツ(市原悦子)
■お時の勤務先「東京の割烹料亭」
● 常連客・商社社長の安田辰郎(柳葉敏郎)
産業建設省大臣や局長と親しい間柄
● 安田のの嫁・亮子(夏川結衣)
鎌倉で病気療養中
● お時の同僚・とみ子(筒井真理子)
東京駅13番ホームで安田を見送ったあと、15番線ホームで佐山とお時が『あさかぜ』に乗るのを目撃したと証言。しかし13番線から15番線のホームを見通せるのは4分間だけ。
■安田が親しかった大物
● 産業建設省大臣・原種臣(江守徹)
● 産業建設省局長の石田芳男(竹中直人)
■ほか
● 安田亮子(夏川結衣)
● 鳥飼つや子(内山理名)
● 桑山秀子(原沙知絵)
● 小林安子(樹木希林)
●「点と線」ビートたけしドラマのあらすじ
■香椎海岸で男女の死体
昭和32年4月、福岡市の香椎海岸で男女の死体が発見された。
遺体で見つかったのは、産業建設省の課長補佐・佐山憲一(大浦龍宇一)と、東京の割烹料亭の仲居”お時”こと、桑山秀子(原沙知絵)。
佐山は現在捜査が進んでいる汚職事件のキーマンとして警視庁捜査二課が関心を寄せている人物だった。博多東署の田中捜査係長(小林稔侍)らは周囲の状況から“心中”と判断するが、定年間際のベテラン刑事・鳥飼重太郎(ビートたけし)はなぜ2人がこんな寂しい場所で心中したのか、疑問を抱く。
さらに佐山の遺留品から、特急『あさかぜ』の食堂の“お一人様”の領収書が出てきたことで、鳥飼の疑問は増幅する。2人で乗ったはずなのに、なぜ男だけ食堂車に行ったのだろうか…!?警視庁捜査二課の寺崎捜査課長(名高達男)や笠井係長(橋爪功)も、当然のことながらこの心中事件に注目、部下の三原紀一(高橋克典)を現地に派遣する。
鳥飼に会った三原は、所轄署の中で彼だけがこの心中に疑問を持っていることを知る。■とみ子が目撃したと言い出す
そのころ、署には遺体を確認するため、佐山の兄や、お時の同僚・とみ子(筒井真理子)、そして実家の秋田からお時の母・桑山ハツ(市原悦子)が駆けつけていた。
だが、いくら彼らから話を聞いても佐山とお時の繋がりが見えてこない。そんな中、とみ子が、佐山とお時が『あさかぜ』に乗り込むのを目撃したと言い出す。
とみ子ともうひとりの同僚は、店の常連客である商社社長・安田辰郎(柳葉敏郎)に誘われて食事に付き合った後、病気療養中の妻・亮子(夏川結衣)が暮らす鎌倉に向かう安田を、東京駅の13番ホームで見送ったという。
そのとき、線路を隔てた15番線ホームを佐山とお時が歩いてきて、停車中の『あさかぜ』に仲睦まじく乗り込むのを見たというのだ。■空白の4分間に、安田の作為!?
しかし13、14番線には始終電車が出入りしており、13番線から15番線のホームを見通せるのは1日の中でわずか4分間にすぎないことを鳥飼は発見する。やがて、安田は産業建設省大臣・原種臣(江守徹)や局長の石田芳男(竹中直人)とごく親しい間柄だと判明する。
とみ子たちが佐山とお時を見たのは本当に偶然だったのか!?
鳥飼は、その“空白の4分間”に、安田の明確な“作為”を感じ取るのだが…!?引用:https://www.tv-asahi.co.jp/prime-sun/program/0059/
●「点と線」松本清張原作小説のあらすじ結末と犯人をネタバレ!
「点と線」松本清張さんの原作小説を読んだので、あらすじの結末と犯人のトリックをネタバレします。
犯人のアリバイ崩すために追った小さな点の数々が、最後に線となってつながる結末は秀逸です。
■犯人のトリックネタバレ「アリバイ」
犯人は安田だった。
しかし安田にはアリバイがあったが、それはトリックだった。
安田は事件当時、北海道に行ったアリバイがあった。1月12日、上野を急行『十和田』で出発し、17便の青函連絡船で函館に渡り『まりも』に乗って、1月21日札幌に20時34分着。
トリックのネタバレは、『まりも』に石田と事務次官が乗船していたが、事務次官は安田の名簿票で乗船して、いかにも安田が乗船したように偽装したというもの。
一方で飛行機の乗船名簿に安田の名前がなかったが、実際は、東京➝福岡、福岡➝東京、東京➝札幌 3便それぞれに産業建設省の出入り商社の人間の名前があったが、彼らは石田に頼まれて名前を貸しただけで、実際に乗っていたのは安田だったという、こちらもトリックだった。
■犯人のトリックネタバレ「あさかぜで2人を目撃」
安田が、佐山がお時と『あさかぜ』に乗るのをとみ子に目撃させたのもトリックだった。
実は2人は恋仲ではなく、誰かに目撃させて恋仲であると印象づける必要があった。
佐山は料亭に行ってないが安田から紹介されてお時を知っていた。
偶然の目撃を装うため、用もない15番線でなく、安田は嫁の鎌倉に行くときに乗る13番線ホームを選び、15番線のホームを見通せる4分間を狙った。
6日後、佐山とお時は海岸で飲んで密着して死んでいたから、警察は心中だと思い込んだ。東京駅で仲睦まじい2ショットを目撃させてるから説得力がある。しかし真相は、2人は別々の場所で殺されたという安田のトリックだった!
■犯人はもう1人いた
犯人は、電車や飛行機の時間や時刻表を巧みに利用していたが、安田1人ではできないことだった。
犯人は2人組であり、安田の共犯は、時刻表に特別な感情があり執筆したこともあるほどの、病気療養中の安田の嫁・亮子だった。
病気療養中だが亮子はときどき湯河原の親戚のところに出かけることがあり、1月19日、周囲には湯河原に行くと嘘をついて、湯河原からすぐ熱海に移動し、5日前1月14日に『あさかぜ』を途中下車して『海風荘』に偽名で宿泊していたお時と密会していた。だから佐山は食堂車に1人だったのだ。
そして亮子とお時は2人で急行『筑紫』に乗って、1月20日19:45着で夜の博多へ。
■佐山を殺した犯人
博多に着いた亮子は、安田の代理として佐山を呼び出し、ひとけのない場所を選んで福岡市の香椎海岸へ佐山を連れていった。
佐山は汚職事件で逮捕されるか心配だった。汚職事件の主犯である石田は、佐山が逮捕されたら自分が危ないから、保身のため佐山を博多に逃げさせたのだ。
上手くいってるから大丈夫だなど話して佐山を安心させ、青酸カリ入りのウイスキーを飲ませて殺した。
■お時を殺した犯人
一方、飛行機で来た安田はお時と合流して香椎海岸へ連れていき、青酸カリ入りのウイスキーを飲ませて殺した。
そして近くにいた亮子と合流し、佐山とお時の死体を密着させて心中を工作した。
香椎海岸を選んだ理由は、岩肌だらけの海岸だから証拠の足跡も残らないから。
現場に残した青酸カリ入りのジュースの瓶は、亮子の偽装だった。
■安田夫婦とお時の関係は?
安田とお時は不倫関係だった。
亮子は病気で夫婦の営みを持てないから、お時は公認の愛人だった。
最初は佐山の自殺に見せかける作戦だったはずが、自殺の説得力に欠けるから、事件性を疑われない『女との心中』を偽装した。お時はその道具に選ばれた。
亮子はお時を公認していたものの、やはり憎らしい存在であり、殺すことにためらいはなかったと思われる。
2人を殺した夫婦はその夜は博多に泊まり、安田は飛行機に乗って北海道経由で東京へ、亮子は電車で鎌倉に帰った。
こうして石田は安堵した。安田は石田に大きな恩を売ることに成功した。
■結末ネタバレ 犯人の逮捕は?
逮捕状が出たが、安田は病気が悪化した亮子とともに、鎌倉の家で青酸カリを飲んで自殺した・・・。
安田に遺書はないが、亮子は「罪の意識を感じて」と遺書を残した。しかし真相は、亮子が安田を道連れにしたのではないかと思われる。
一方、汚職事件の主犯である石田は証拠がなく逮捕を逃れ、今まで以上によいポジションに移った。アリバイトリックに協力した事務次官も出世し、なんという皮肉か。
後味が悪い結末となった。
●「点と線」松本清張原作小説の感想!
傑作トリックを描いた40年以上昔の小説。ケータイやネット、DNA鑑定もない時代なので、刑事の推理によるトリック解明とアリバイ崩しが活きてきます。
現代の捜査は近代化してデジタルでスピーディなので、「点と線」はとてもノスタルジックですが、現代でも十分楽しめるのが松本清張さんのすごいところだと思います。
点と線がつながりトリックがネタバレする結末の一方で、世の中の汚い部分が見えて、後味の悪さが残ります。
保身のため他人を平気で犠牲にする汚職政治家、その政治家にあやかって出世しようとする官僚たち。
そのために手段を選ばず人殺しの犯人となった安田。
冷静で理数系な才女だけど病に侵され、愛人に嫉妬し憎んでいた嫁・亮子の狂気。
安田は亮子は、佐山とお時を心中に見せかけるトリックで殺しましたが、最後は自分たちが本当に心中してしまいました。
彼らの犠牲のうえで助かった汚職政治家は、逮捕もされずさらに美味しいポジションに・・・。黒幕が生き延びる、後味の悪い、でもリアルな結末でした。
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