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【リカ】小説「リハーサル」ネタバレ。ドラマ第1部からグロすぎる結末「自称28才高身長臭い女がヤバイ」

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高岡早紀さん主演のドラマ「リカ」第一部のキャストと、原作小説を読んで登場人物とあらすじネタバレを最終回結末まで紹介します。

「リカ」の原作は五十嵐貴久さんの小説で、大人の土ドラでは「リカ」「リハーサル」「リターン」「リバース」の中から、『リカ』『リハーサル』の2冊を原作として2部構成でドラマ化!

『花山病院』大矢副院長(小池徹平)は新規募集で採用した看護婦リカ(高岡早紀)に医療ミスに見つかり隠蔽してしまう。それ以降リカの影に大矢は付きまとわれ、病院内で奇妙な出来事が次々に起こり始め、リカの正体に恐怖していく。

第一部の原作小説を読んで登場人物とあらすじネタバレを最終回結末まで紹介するのでドラマ「リカ」に興味ある人は参考になったら幸いです。

目次

●ドラマ「リカ」キャスト

原作小説「リカ」は五十嵐貴久さんの作品で、第2回ホラーサスペンス大賞を受賞したベストセラー「リカ」シリーズ。常軌を逸したストーカー女リカのホラーな戦慄ストーリー。

キャストは主人公・雨宮リカを魔性の女・高岡早紀さん、第一部のターゲット外科医・大矢昌史役を小池徹平さんが、第二部のターゲット映画製作会社プロデューサーの本間隆雄役を大谷亮平さんが演じます。

■主人公

● 雨宮リカ(高岡早紀)
職歴・住所・年齢などすべて経歴詐称する女。「女は28歳で結婚して家庭に入るのが一番幸せ」という結婚観を持つ。男への愛情は一途だがいつも一方的で、運命の相手と信じた男との理想の世界を作ろうとする。障害となる人間を殺すことも辞さない狂気の性格。孤独に闇を抱え生涯のパートナーを追い求める。

■ドラマ第一部

● 副院長・大矢昌史(小池徹平)
リカが看護師として採用される花山病院の副院長で外科医。婚約者もいて公私ともに順風満帆だったが、リカに人生を狂わされる。

● 院長:花山大次郎(西岡徳馬)
● 病院受付:丘留(金沢)千秋(夏菜)

■ドラマ第二部

(第1部から3年後)
● 映画製作会社プロデューサー本間隆雄(大谷亮平)
嫁と別居中。仕事のリサーチで使ったマッチングアプリでリカと出会い、破滅へ向かうことになる。

● 本間の嫁:葉子(徳永えり)
● 元刑事:原田信也(柏原収史)

●ドラマ【リカ】第一部(原作小説リハーサル)登場人物

第一部の原作小説「リハーサル」あらすじネタバレの前に登場人物を紹介します。

■「リハーサル」登場人物

● 大矢副院長 35才
 主人公。10才で父親を亡くしてから叔父に育てられた。
● 大矢の婚約者・佐藤真由美

● 雨宮リカ
 新規採用した看護婦

● 花山大次郎院長
 大矢の叔父。脳梗塞で倒れた。

● 内科医・刈谷医師
 大矢の株仲間で9才年上43歳。野球好きの小学生の息子がいる。ゴシップ好き。
● 柏手医師
 無口な50才のベテラン外科医。嫁と娘がいる。
● 博子医師
 大矢2才年下で独身。妹のような存在。子供好きで童顔。
● 麻酔医・庄野医師 
 麻酔歴20年以上のベテラン

● 小山内婦長
 金属30年のボス。あだ名はオッカナイ婦長。
● 副婦長・原口佳乃
● 副婦長・藤鐘清美
● ベテラン看護婦・富岡40才
● 受付・丘留

 
 

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●ドラマ【リカ】第一部(原作小説リハーサル)最終回結末まであらすじネタバレ

■ネタバレ1. 大矢と叔父の関係

大矢は10才で父親が交通事故で死亡して以来、子供がいない叔父は甥っ子の大矢が40才になったら院長を務める『花山病院』の後継ぎにするつもりで学校や生活の面倒を見てくれた。しかし昨年末に叔父が脳梗塞で倒れて状況が一変。叔母が10年前に他界して1人暮らしだったため発見が遅れて、左半身不随となり、院長としては再起不能となった。

大矢は私立栄応医大を卒業後、研修医として3年働いたあと栄応医大の医師になり、32才でロス留学したが叔父が倒れたので緊急帰国。関係者で話し合った結果34才で経験不足な大矢に院長は早いので副院長になった。医師や看護婦らは叔父を尊敬していたが大矢はただの甥っ子にすぎないし、大矢本人も出世は望んでない。

また、大矢は『花山医院』で出会った刈谷医師のオススメで数か月前から株を始めてそれなりに儲かっていた。

■ネタバレ2. 【★】リカの面接

いつも笑顔で優しかった尊敬する叔父は脳梗塞で人格が変わり、誰に対しても怒りと不信感を向けるようになった。甥っ子に病院を乗っとられる被害妄想にとらわれ、金と院長職に執着している。そんな叔父の看護に嫌気がさして若い看護婦が数人やめていき、深刻な看護師不足に陥った。

5月中旬。看護師不足を解消するため、看護婦の新規採用の募集貼り紙を看板に貼った。

6月20日。10人応募のなかから書類選考で5人に絞り面接。そのうち雨宮リカ28才は、20才で青美看護学校を卒業後、慶葉病院、東洋女子医大、千葉の坂本クリニックで2年働いたが坂本医師が80才を機に閉院したので東京に戻ってきた。慶葉病院にいた桜田眼科医は刈谷医師の後輩でリカは面識があるという。

根を詰めすぎて体調不良になったのでしばらく休むつもりが募集の張り紙に運命を感じて応募したという。

父親は麻布の開業医で、同じ京橋大学を卒業した花山院長のことを尊敬していた。母親は父親の死後に心を病んでリカと妹を連れて家を出て行った。男性関係は3年前に婚約していた医師が自宅の火事で死んで以来、彼氏を作る気になれない。

リカは千葉の坂本クリニックの坂本医師と、日本医師会の元副会長で慶葉病院の内田前理事長の推薦状を持っていた。7年前に内田前理事長が胃ガンの手術を受けたとき世話した縁で、退院後も何度か食事に連れていったもらった関係だという。

顔色が悪いが目鼻立ちははっきりした顔立ち、目は大きく切れ長で黒目がちで古風な黒髪美人だった。ただ乾燥肌らしく白い粉が吹いていてそれを隠すため頬のチークが濃い。またリカはたぶん腋臭でそれを消すため香水を使っていた。患者たちがどう思うか気になるが腋臭を理由に不採用にはできない。大物の推薦状も無視できない。

後日、大矢は婚約者・佐藤真由美とデート。9才年下の26才で医者の娘だ。

同じ栄応医大出身で、4年前に大学時代のテニスサークルのOB会で出会ったとき、どこかで会った気がいたと思ったら高校時代の親友・佐藤俊彦の妹で、18才のとき9才の小学生だった真由美と話したことがあった。そして大矢のほうからアプローチして交際に発展。数か月後には半同棲。そんななか3年間のロス留学が決まり超遠距離恋愛で交際を続けたが、叔父が倒れて早めに帰国した。

帰国半年後に婚約した。来夏に結婚予定だ。しかし最近は研修医の真由美が多忙でほとんどデートできずにいる。面接のことを聞いた真由美は、10才年上の先輩医師が新人研修医を脅すために作った『病院の怪談』が気になった。

<体臭が強くて顔色の悪い背の高いが看護婦がいる 彼女が勤務する病院で何人も入院患者が死んだ>・・・大矢は悪い冗談だと気にしなかった。
 
 

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■ネタバレ3. 看護婦の採用決定

小山内婦長の考えは2人採用で、怯えるように直感でリカを不採用。

しかし大矢は、隣に美容整形外科病棟を新設する予定があるため推薦状を書いた大物・内田前理事長の機嫌を損ねたくないので、小山内婦長の意見をくんで3人とも仮採用とし、3か月間は問題がなければ本採用とした。

● 相川美奈子25才➝小児科
● 工藤有喜33才➝内科
● 雨宮リカ28才➝外科

大矢が3人それぞれに優しく声をかけて励ますが、相川と工藤に話したとき舌打ちが聞こえた気がした。

7月。3人の評判を聞く。

小児科の相川美奈子25才は、若いが熱心だ。

内科の工藤有喜33才は、歴10年以上でテキパキしていて子供にも人気。

外科の雨宮リカ28才は、体臭は思ったほど酷くなく不快に思う患者もいない模様。大矢が患者を診るときリカは距離が近づぎて体が触れることがあったが、距離感は看護婦によって違うので気にしなかった。ただリカは他の看護婦と仲良くするつもりはないようで、休憩は1人で読書していた。

■ネタバレ4. 【★】手術の医療ミスを隠蔽してしまう

夕方16:00から大矢は慢性虫垂炎が悪化した仲代寿一65才の手術。合併症の危険はない、大矢にってはロスで20人以上経験がある簡単な手術だった。看護婦はベテラン富岡40才とリカの2人。リカは歴8年とは思えないほど慣れていた。

手術後、リカが「止血用のペアン鉗子が1本足りません」と報告してきた。まさか体内に置き忘れた医療ミスか?

リカは「気付いてるのはリカだけ。先生のためなら何でもします」と顔を近づけてきた。腐った卵に酢を混ぜたような臭いがした。

残ってる看護婦は夜勤の6人だけで婦長もいないから、今ならもう一度開腹しても誰も気づかない。大矢は超音波エコーで撮影して鉗子を確認して、奥さんの了解を得て開腹するのが最善の処理だと考えるが、そうなると医療ミスの責任を訴えられる可能性がある。

リカが大矢の耳に唇をつけて言った。「誰にも言いません。先生とリカ、2人だけの秘密です」

麻酔は1~2時間で切れて意識が戻る。個人差があるので1時間以内かもしれない。腹部を触ると固い感触があった。間違いなく鉗子が入ってる。18:05 手術からちょうど1時間。仲代がいつ目覚めてもおかしくない。

選択肢は3つ
1 仲代の意識が回復後に事情を話してから開腹して鉗子を取り出す。
2 生野医師に説明して再度麻酔をかけ、家族の同意を得て開腹そて鉗子を取り出す。
3 誰にも言わずにリカと2人だけで今取り出す。

1と2は大矢の手術ミスがバレて医師として致命的な医療事故を指摘される。

3も手術中に仲代が意識を戻すリスクがある。麻酔が切れた状態で傷口が開けば強烈な痛みで耐えられない。リカは「局所麻酔をすればいい」簡単なことだと注射を取り出した。子供の頃から父親のクリニックで教わったからメスの使い方もわかってるという。

大矢が「ダメだ。生野先生と柏手先生を呼べ」と命じるとリカは無視して麻酔注射を打ち、勝手に開腹した。

悪夢だ…もうやるしかない。震える手で血まみれのペアン鉗子を取り出した。床に落ちた鉗子をリカが拾ってポケットに入れた。傷口を縫合したあと目覚めた仲代に「手術は成功した」と伝えた。

仲代は気付いてない。大矢は「これでいいんだ」と自分に言い聞かせた一方、自分は医師失格だと涙があふれた。

辞表を書こうとしたが辞めたら花山医院はどうなる?ここは叔父の全てだ。自分が守るしかない。もう二度とこんなミスはしないと心に誓った。なぜペアン鉗子を残したまま縫合する素人レベルの凡ミスをしたのか?何度記憶を探っても理由がわからなかった。
 
 

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■ネタバレ5. リカの勤務態度に看護婦たちから苦情

『花村病院』の看護婦のシフトは日勤8:00~16:30、準夜勤16:00~24:00、夜勤23:00~8:30の3交代制。

リカは準夜勤になったが病院にいると落ち着くとらしく昼間からカフェテラスで一人で読書していた。大矢はチームワークが大切だから他の看護婦とあまり話さないのはよくないと注意すると「看護婦なんてバカばっかし。大嫌い」とテーブルを本で何度も叩き、説得しようとすると嬉し泣きした。

「2人でいる時はリカって呼んでほしいの」と言われ、苗字で呼ぶのがルールだと断ると、リカは仲代の腹から取り出したペアン鉗子を持ってることをちらつかせた。このときリカの奇妙な顔の正体がわかった。美しなくない・醜いというわけではなく何かが微妙に歪んでいた。

そして手術から10日後、仲代は無事に退院して平穏な日常が戻り、7月下旬の大安の日曜には大矢と真由美は正式に婚約した。

そんななか看護婦たちからリカの勤務態度についてクレームが入った。リカは大矢と一緒のときだけ熱心に働き、ほかの看護婦たちを経験や技術ではなく人間として見下して怒ったり怒鳴ったりするのを目撃されていた。

小山内婦長はリカが自己評価が高いことは面接のときから気付いていた。面接で話していたことは全て自慢にしか聞こえなかった。女同士ではすぐわかることだが、男の大矢は気付いてなかった。

病院はチームワークが大事なので婦長はトラブルを心配する。そして大矢が婚約したことをなるべく早く全員に伝えるべきだと主張した。

婦長が出ていった途端リカから携帯に電話がきて「来客中だ」とわざと尖った声で答えたら「お仕事中ごめんね」と切れた。辞めさせたいが、仲代のことで弱みを握られてるから強引なことはできない。あと2か月の辛抱だ。

■ネタバレ6. リカが叔父を取り込む

大矢より2才年下でさっぱりした性格で妹のような博子女医が「聞きましたよ副院長」「あたしは味方ですよ。医者と看護婦が付き合うのは職場恋愛の一種ですから」と意味不明なことを言ってきた。なんとリカが「副院長から交際を申し込まれた」と言いふらして看護婦全員の噂になっていた。

今日休みのリカに電話すると「寂しかった」と言い、なぜ嘘をつく質問しても全く聞き入れない。モラルに人一倍厳しい叔父が知ったら大変だと心配すると「怒ってないよ」とリカが笑った。まさかと思い叔父が入院してる特別個室に急行すると、リカが叔父を車いすに乗せてバルコニーにいた。

叔父は「彼女はいい子だ。ほかの看護婦と違う」「まさふみはいい相手を見つけたな」「優しい子だ。今までの看護婦とは違う。あいつらは皆同じだ。わしのことを迷惑がるだけで。リカは違う。お前を見直したよ」「2人きりの時は名前で呼んであげなさい。恥ずかしることはない。もう他人ではないのだからな」

リカは当番の吉川看護婦をランチに行かせて交替していた。笑うと顔の歪みが強調された。叔父は上機嫌で大量の涎をたらしてリカがそれをふき取る。叔父の右手がリカの手をしっかり握りしめた。いつの間に親しくなった?リカが叔父の頭を胸に抱き寄せた。下着をつけてないのがわかった。

リカに叔父に何を言ったか問い詰めると「叔父様はほかの看護婦が嫌いなの」と異常な早口で看護婦たちの悪口を言った。

「辞めてもらう」と言うと「2人とも愛し合ってるんだし」と、大矢と交際しているという異常な妄想に取りつかれている。婚約してることを明かすと突然「ペアン鉗子」「返そうと思ってたの。あれどこに置いたんだっけ。リカ忘れちゃった」と暗に脅してくる。

鉗子は医療ミスの証拠だ。大矢がたまらずあとずさりすると「見つけたら返します。病院の物だもんね」「その代わり1つだけお願い聞いて。2人きりの時はリカって呼んで」・・・大矢は仕方なく約束するしかなかった。

■ネタバレ7. 新規看護婦3人の評価

8月27日。仮採用した3人について大矢・医師3人・婦長の5人で会議。

● 相川美奈子25才➝小児科
博子女医:まだ若いから要領悪いところはあるが合格。
● 工藤有喜33才➝内科
刈谷医師:少し愛想はないが合格。
● 雨宮リカ28才➝外科
柏手医師:体臭も思っていたほどではないし、積極的ではないが仕事は確実にやってるので合格。

しかし婦長はリカがほかの看護婦とうまくいってないことを理由に試用期間終了前にクビを進言。一方、いつも意見を言わない柏手医師はなぜかリカをかばうので、大矢は医療ミスがバレてないか疑心暗鬼になった。

試用期間3か月の時点で結論を出そうと言うと、婦長は諦めとともに何かを恐れてるような表情を浮かべた。

ペアン鉗子を返してくれと何度も言ってるがリカは拒んでいる。取り返さないと辞めさせることはできない医療ミスの証拠だ。だが仲代が完治すれば医療ミスはなかったことになるから、それまで時間を稼ぐ必要がある。

一方、御茶ノ水の海林大学附属病院で研修医として働いてる婚約者の真由美と久しぶりに食事デート後、駅まで送るとき真由美が声を潜めて「最近、誰かに見られてる気がする」と言った。電車に乗ろうとしたとき、車体にぼんやり映る痩せた女の人影を見て振り返ったが誰もいなかった。

■ネタバレ8.【★】小山内婦長が転落事故

小山内婦長が3階で倒れた。4階の階段で足をすべらせ転落したとわかったが、よほど勢いがないと踊り場を超えて3階まで落ちることはない。全スタッフの中で最も冷静な小山内婦長がそんな事故を起こすなんて考えられない。

意識不明で薄く開いた目が震えている。左右手首・足の骨折に加えて最悪の頚椎損傷。四肢の麻痺に加えて呼吸筋肉麻痺となり、手足を動かすことはおろか、自発呼吸・食事・排泄もできず、会話もできず全ての感覚を失い、車イス生活が死ぬまで続く。

実質的に病院をコントロールしてるのは看護婦たちをまとめてる婦長だから全スタッフが混乱した。患者のケア含め全スケジュール管理を婦長に任せてるから、医師は患者の治療に専念できるのだ。

とりあえず副婦長の原口を婦長代理にしたが40代半ばで経験も長いが積極的な性格ではない。看護婦20人をまとめる統率力は期待できない。全員の心がバラバラになりり外科・内科・小児科すべての科で小さなトラブルが頻発した。

小山内婦長は提携先の杏香医大から脊椎の専門医の判断で4階の特別個室に入院した。この容態だとどこに入院しても同じだからだ。

叔父と小山内婦長はお互いの立場を尊重し理解し合い助け合う仲で、婦長は毎日1度叔父の病室を訪れて世話話をする習慣があった。転落事故を叔父に報告しに行くと今日休みのリカがいた。

リカは小山内婦長が陰で叔父の悪口ばかり言っていたと吹き込んでいたため、叔父は「あれは性悪女だ。この病院を乗っ取り自分のものにしようとしていた」と笑っていた。

「叔父さんはダマされてるんです」と訴えても「バカが。リカが私をダマしてる?よくもそんな下らないことが言えるな。お前は本当にまさひみか?」と、叔父は子供のようにリカにうなずくだけだった。

そこで大矢は原口婦長代理と藤鐘副婦長を呼び出して叔父の看護についてルールを決めるよう命じた。

藤鐘は37才で消防士の旦那と2人の子供をもつ良妻でよき母だ。「あの人(リカ)はどうかしてます。勤務時間以外はずっと院長の個室にこもってる」「あの2人は単なる患者と看護婦だけの関係じゃない。不適切な関係になる。間違いない」とリカと叔父が男女の関係にあると批判した。その通りで、行為はなくても叔父はリカに恋愛感情を抱き、下着をつけてない胸に顔を押し付け興奮していた。

■ネタバレ9. リカの虚言癖と、株暴落の刈谷医師

藤鐘副婦長は大矢に、看護婦全員があの人と働きたくないと思ってることを訴えた。理由はリカが嘘つきだから。しかも無自覚な嘘かだら始末に困る。このタレントは自分の姪だ、このモデルは高校の同級生、この女優は小学校の親友だと、嘘をつく。

しかしリカの年齢的にあり得ない。本当に28才かも怪しい。女同士は肌の感じで大体の年齢がわかる。どう見ても30才を超えてる。話しかけてくるとき必ず自慢話が入る。父親が医者だった、広尾の家が300坪あった、男子にモテまくったなど、どこまで本当でどこまで嘘かはわからない。

最近リカが話すのは大矢のことで、交際を申し込まれた、プレゼントを凄いもらった、プロポーズされて考え中など。藤鐘副婦長は大矢がリカと交際するはずないのはよくわかってるが、現実味のある話し方をするので信じてしまう若手の看護婦もいる。

嘘も妄想もリカの中では全て本当のことなのだ。嘘をついてる自覚がない人に「嘘はやめなさい」と言っても意味はない。早く辞めさせたほうがいいし、それを言えるのは副院長しないと、藤鐘副婦長は訴えた。


一方、小山内婦長が転落事故にあう前、大矢の株銘柄30個のうち10社が値下がりして2社はストップ安となり、こんなこと初めての現象だった。株仲間の刈谷医師も相場の動きが激しくて仕事が手につかないと困っていた。ミナト証券の野島課長のアドバイス通り株売買をしていたら全ての株が暴落してしまったのだ。

1000円の株が500円に下がり、刈谷医師は株の買い足し=ナンピン買いをしていた。値下がりした500円株を買えば一株の平均が750円になりリスクが軽減されるという仕組みだ。大矢の何倍も投資していたからナンピン買いするしかなかった。

野島課長は暴落は一時的だと説明したが株価は下がり続け300円に近づき、手持ちの資金が底をついた刈谷医師は心ここにあらずで1000万円の給料前借りを頼んできた。返済には3年以上かかるから難色を示すと、個人的に貸してほしいと頼まれたが大矢の株もマイナスで余裕ないから断った。

すると「病院の金を流用できませんか。野島課長は1か月で株価は戻ると言ってる」しかし医療機器の購入費だから流用はできない。

「助けてください。僕はずっと副院長の味方をしてきた。柏手先生や古株の看護婦が、あなたの下で働きたくないと言っていたのは知ってますか?説得したのは僕なんですよ。」経営者は自分ではなく叔父だからと断ると刈谷医師は髪を掻きむしって副院長室を出て行った。

大矢は、刈谷医師にとって自分が利用価値のある男、それだけの存在にすぎないと知ってショックを受け、もう辞めようかと思ったとき受付から近藤佳織の叫び声が聞こえた。

■ネタバレ10.【★】近藤佳織が倒れる

患者の近藤佳織は豊満な体つきで色気がある30才の専業主婦で、旦那は中古車販売会社の専務。1か月前に自宅で転んで左手首をねん挫して症状は軽いが週に一度通院している。そして近藤佳織は大矢に体を押し付けて、上目遣いで治療のお礼に食事を誘ってきて困っていた。

近藤佳織が帰るときはリカの舌打ちが何度も聞こえた。このとき大矢は看護婦の仮採用が決まったとき聞こえた音はリカの舌打ちだと確信した。リカを特別扱いせず3人に平等に話しかけたのが不愉快だったのだ。また、感情の抑えが利かなくなると体臭が濃くなることにも大矢は気づいた。

この近藤佳織が「何だっていうの、昔のことをほじくり返して、何が楽しいの?」と叫び、受付の丘留陽子がひたすら頭を下げていた。

近藤宅に差出人が柏手医師名義での宅急便が届き、中身は白濁液のつまったコンドーム3個だった。しかし柏手医師がこんなもの送るなんて考えられないし伝票の文字も定規を使って書いてて不自然だ。

近藤佳織は旦那に殴られて浮気を疑われ離婚すると言われたらしく、すっぴん髪ぼさぼさでヒステリーを起こして貧血で倒れた。

大矢は想像がついた。近藤佳織は昔スナックで働いていたそうだが、実際は風〇店だったのだろう。暗い過去はなかったことにしてようやく主婦の座をつかんだのに、離婚を突き付けられ貧血で倒れた。一方で大矢を食事に誘ったり浮気はしていたのだろう。

柏手医師が近藤佳織と旦那に恨みを持つとは思えないしこんな卑劣な行為をする人間ではない。柏手医師に敵意をもつ誰かが真犯人だ。事実無根でも病院内に噂が流れ、看護婦たちにとって格好のゴシップネタとなる。 

落ち着きを取り戻した近藤佳織に柏手医師は犯人ではないと説明するとうなずいて帰っていった。柏手医師はもちろん全てを否定した。

■ネタバレ11.【★】受付の丘留陽子が退職

受付の丘留陽子は誰も対しても愛想がよい女性だった。

しかし近藤佳織のヒステリーを受けて退職届を出した。仲良しの朽木看護婦がアパートを訪ねたがドアにチェーンを掛けて、視線は泳いで目は真っ赤に充血。数日で別人のように痩せていた。

近藤佳織の事件が理由で辞めるのはではないというが本当の理由は話そうとしなかった。

■ネタバレ12.【★】森田喜久子のアパートが火事

森田喜久子看護婦は誰に対してもボディタッチをする癖があった。

その森田の住むアパートがガソリン放火にあい住民2人が焼死したため、休職を申し込んできた。

警察は恨みをもつ犯人の犯行とみたが、森田喜久子ほど評判のいい看護婦はいない、恨みを買うことはない。

先日、同期の25才で親友の杉山史子が、大矢の4期後輩で年に数回飲む仲の栄応医大病院の川勝医師と結婚すると決まり、とても喜んでいた。あのとき森田が「あの」を言いかけて口を閉じたとき、振り向くと棒のような女が横切っていくのが見えた。

■ネタバレ13. 升本リカの恐ろしい噂

病院内によどんだ空気が漂い、全スタッフが声を潜めて話すようになった。

叔父は近藤佳織のことを「バカな患者が騒いだと聞いた。放っておけ。どうでもいいことだ」と。花山病院では何より患者を優先すると叔父が決めた方針なのに。そして「人事はわたしが決める」「原口には婦長は務まらん。すぐに他の者に代えろ」「原口は口を開けば不満ばかりで医師や同僚の悪口ばかりだ」これもリカが叔父に吹き込んでるのだ。

看護婦たちは最初からリカを受け入れようとしていなかった。蛇やクモと同じで、嫌悪感とは違う異質なものへの恐怖。小山内婦長は誰より早く察知していたのに、大矢は真剣に耳を傾けていなかった。


大矢が小山内婦長の病室へ行くと、人工呼吸器に加え、点滴・水分補給・排泄・何もかもが全身にチューブを通じて行う『スパゲッティ』と呼んでる状態だった。

そのとき真由美から電話があり、同じ病院で働く設楽看護婦40才が青美看護学校OBで、背が高くて体臭がキツい看護婦と言ったらリカを知っていたという。青美看護学校は2年制の専門学校。設楽看護婦は直接リカに会ったことはないが、同級生か下級生に升本リカという名前を何度か聞いたことがあるという。

親しい同級生や以前勤めていた病院の看護婦からも噂を聞いたことがあるが、誰も升本リカと会ったことはなく噂を聞いてるだけ。それはリカが勤めた病院で必ず奇妙な出来事。入院患者が何人も続けて死んだ、盗難事件が起きた、事故が起きた、エレベーターの誤作動で看護婦の体が真っ二つに切断されて死んだ、医師や看護婦が交通事故にあった、駅のホームから転落して電車にひかれた。

リカ本人は青美の卒業生だと言ってるが、卒業生でリカを直接知ってる者はゼロ。

噂の共通点はもうひとつ、それは年齢。40才の人も25才の人みんなリカは自称28才だと言ってる。何年も前に自称28才が現在も28才はおかしい。調べようにも青美は火事で資料ごと焼けて校舎もない。

真由美は自分でも調べてみると電話を切ると、小山内婦長がまばたきした。リカが危険な存在か聞くと凄まじい勢いでまばたきして心電図が大きく乱れた・・・。

■ネタバレ14. 医療ミスはリカの捏造だった

大矢は藤鐘副婦長から「しっかりしてください」と母親のように背中を叩かれ、仲代の医療ミス隠ぺいをに告白した。

藤鐘副婦長は患者の命に係わる医療ミス隠ぺいを批判し、リカを辞めさせたあとは、信頼できない医師のもとでは働けないから自分も辞めるという。

しかしペアン鉗子はサイズは14cmもあり、腹腔内にガーゼやチューブ、メスを残してしまうミスは聞いたことあるが鉗子は聞いたことない。

手術終了後に大矢ともう1人の看護婦が手術室を出たあと、リカが縫合糸を切ってペアン鉗子を押し込みで縫い直したと指摘。縫うだけなら看護婦だってできるし、血管や内臓を傷つけて患者が死んだとしてもリカは困らない。手術の責任は大矢にあるから。要するにダマされた・・・・医療ミスはリカの捏造だった。

リカは患者の扱いもひどく、上から目線で命令するだけで質問には答えない。子供を叩いたり高齢者に暴言を吐くのを何度も目撃されている。欲求不満からか男性の入院患者の下着を盗んで更衣室やトイレにこもってる。

リカが大久保に住んでるというのも嘘。北口のある喫茶店アプリコットの近所だと言ってるが、藤鐘副婦長の旦那の実家が大久保だから、10年以上前に潰れて現在はコンビニだとわかってる。10年以上前に住んでいたのは本当だろう。リカの保証人は祖母だが経歴詐称なら辞めさせる理由になる。

■ネタバレ15. 刈谷医師が借金残して逃げた

刈谷医師が無言で退職届を提出し、動物のように泣き叫び出て行った。

その後、刈谷医師に金を貸してる闇金業者『丸山金融』がやってきて、保証人の欄に大矢のサインと印がある借用書を見せられた。膨大な書類をサインするときに紛れさせてハメられたのだが、事情を言っても通じない。借用書があり保証人には返済義務があると繰り返すだけ。
 
警察や弁護士に相談しても一時的対策にしかならず、地上げ屋のように嫌がらせを受けていくうちに病院は信用を失い終わりだから、1日待ってほしいと言うと帰っていった。

大矢の貯金は株が暴落したので500万円しかないので、経理に電話して至急1500万円用意させ、翌日に闇金業者に渡すと借用書を破り捨てて帰っていった。

レーザー手術器業者には貯金500万円を内金として支払い、残金1500万円はローンに切り替えてもらう。次の1か月後の支払いまでに刈谷医師を見つけて返済を要求する。見つからなければ家族や親戚に頼む
綱渡りだ。不安で胸が締め付けられる。

10月最初の月曜の午後、レーザー手術器が届いたが、刈谷医師にも家族にも連絡がつなかい。計画的にハメられたとわかった。銀行に融資を頼むと今までと打って変わって冷淡な態度で断られた。さらに不審に思った経理から問い合わせがあり、刈谷医師と闇金業者のことを白状すると批判された。

■ネタバレ16.【★】叔父の最期

1500万円のことで叔父に呼び出され、何を言われたか記憶をなくすほど激しく罵倒された。「裏切られた。見損なった。信じられない」唾を吐きかけられ「お前はクビだ」と宣告された。

クビだけでなく私的流用で訴えられるだろう。途方に暮れて24時過ぎに帰宅するとリカから「すぐ特別個室に来てください。来ればわかります」と電話が来た。

特別個室に行くと叔父が歪んだ顔で死んでいた。リカが巡回中に発見し蘇生処置をしたが手遅れだったという。脳梗塞患者によくある急性心不全だとリカは言ったが、大矢は心不全ではないとわかった。窒息死の証拠である紫色の死斑が体中にあるので首を絞められたのではなく枕やタオルで口を塞がれての窒息死だ。

リカは「嫌なヤツだった。いやらしい変態ジジィ」と罵倒するが犯行は否定し「だって殺したのはあなただもの」「愛しているから全部許してあげる」「よくやったねって抱きしめて。ありがとうって言って」頭を寄せてきた。凄まじい異臭。

大矢は自首をすすめるがリカは「動機がない」と断る。献身的に叔父を世話し、娘のように可愛がられたことを看護婦全員が知ってる。逆に大矢は病院の金を使いこみクビを言い渡されたから殺す動機があると。

「殺したいって思ったでしょ?」「あなたが急性心不全の死亡証明を書けばそれで終わる」「これからはリカが一緒にいてあなたのことを守ってあげる」

叔父の嫁はすでに他界していて子供もいない。一番近い肉親は姉と大矢だ。死亡診断書には死因は急性心不全と書いた。不審に思う看護婦はいない。

検死すれば他殺の証拠が出るかもしれないが叔父の名前を汚すようでできなかったし、証拠が出たとしてもリカには動機がなく疑われるのは大矢だ。こうしてリカはこれまで以上に危険な存在になった。叔父の葬儀が終わったら絶対に辞めさせる決心をした。

■ネタバレ17. リカの生い立ち

叔父の葬儀で真由美が調査結果を伝えてきた。

現在は専業主婦36才の仁木看護婦看護婦は、10年前26才のときOLをやめて夢だった看護婦になるため入学した。同期のリカは成績上位で頭がよく、目立たずいつも読書して周囲と積極的にコミュニケーションは取らないタイプだった。学校は前期後期の二期制だったが後期になると生徒全員でリカに対するイジメが始まり、先生たちは黙認した。

1年目の終わりに仁木が体を壊して退校したあと、ナイチンゲールの生誕日5月12日に戴帽式のセレモニーのろうそくの火が何かに燃え移って講堂が燃えて、生徒と先生も全員焼死した。仁木看護婦はそれは不運な火事でなく、証拠はないがリカが犯人だと確信している。

真由美は、叔父が死んだことで大矢は院長になったのだから院長権限でリカを辞めさせるべきだと主張した。大矢が「わかってる」と肩に手を置いたとき、棒のような女の影が視界を横切った。


リカは医療ミスを捏造して大矢の弱みを握り、着々と周辺を固めてから、邪魔者を排除していった。

・小山内婦長を階段から突き落とした。
・近藤佳織を離婚に追い込んだ。
・受付の丘留が辞めさせた。
・森田看護婦のアパートを放火した 。
・叔父を窒息死させた。

すべて大矢と近い関係にある者、あるいは大矢に好意を抱いてる者。動機は嫉妬だ。しかし証拠がない。

大矢はリカの推薦状を書いた慶葉大学医学部の内田前理事長を訪ねた。案の定、内田前理事長はリカを知らず、推薦状はリカの捏造だとわかった。1年前に新宿で偶然会ったというのも嘘。リカが面識あると言っていた刈谷医師の後輩・桜田医師は2年前に無断欠勤が続いてクビになっていた。  

履歴書は残っていた。父親は麻布で開業した外科医の雨宮タケシ。女癖が悪く、看護婦に手を出したり人妻の患者と不倫した。妊娠させた1人は短大出の看護婦で実家が医者で資産家で、双子の娘を産んだ。

雨宮タケシは交通事故で死んだ。同乗していた浮気相手の看護婦の首が反対車線まで吹っ飛んだ。女性はそのショックで娘リカを連れて家を出た。

履歴書の住所に行くとアパートの表札は升本ヨネ。リカの祖母だろう。何度チャイムを鳴らしても応答がなく、隣部屋の老夫婦も1年前から姿を見てない。老夫婦によるとヨネはもともと実家が裕福な医者のお嬢様だったが、家も財産も盗まれて誰も信用しなくなった。4年前に階段で転んで腰の骨を折り、1度だけ孫が来たとき怯えた様子だった。ここにリカは住んでなかった。

■ネタバレ18.【★】藤鐘副婦長が首つり自殺

藤鐘副婦長が4階の特別個室で首つり自殺した。

遺書があり、現場は荒れておらず綺麗、絞殺跡の吉川線もないため警察は、院長が死んだショックで鬱になり発作的に自殺したと断定した。しかし遺書がワープロ打ちだったので大矢は偽装自殺を疑う。医師や看護婦なら吉川線を隠す偽装が可能で、リカにはその知識がある。

そのとき藤鐘と仲良しの倉田友里が駆けつけ泣きながら「雨宮さんが殺したんです!」と自殺を否定した。警察はくわしい事情を聞くことになると言って帰っていった。

リカに電話で「藤鐘の自殺に君は関与してるのか?」と聞くと、『君』と呼んだことをリカは怒ったあと「ツライのはわかる。リカがなぐさめてあげる」。詳しい話を聞こうとすると「プロポーズはまだ早いよ 結婚すると決めてるけど」。病院に来てくれと言うと「さっき退職届を送った。やっぱりその方がいいと思って」「結婚したら家庭に入るべきだから、その準備として身辺整理」と、会話がかみ合わない・・・

そしてリカは低い声で「あの女とまだ会ってるの?嫌な感じの女狐。泥棒猫。あんな女のどこがいいの?嫌い」「お葬式の時もちゃっかりあなたの隣に座って・・・。本当に腹が立つイライラするすごく・・・」いきなり電話が切れた。心配で真由美に電話すると海林附属病院の仮眠室にいて無事だった。

■ネタバレ19.【★】倉田看護婦がひき逃げにあう

大矢は千葉にある坂本クリニックの坂本医師に会いに行くアポを取ったが、当時の朝、倉田看護婦がひき逃げ事故にあったため『花村病院』にすぐ引き返した。

夜勤だった倉田は朝6:00~8:00の仮眠時間によく眠れず、コンビニにお菓子を買いに行って戻るときひき逃げ事故にあった。幸い右腕と右大腿骨の骨折の全治2か月で、意識もはっきりして後遺症の心配はない。

早朝のため犯人の目撃者はいない。後ろから走ってきた黒いセダンにはねられたが博子女医が不審に思う。

制限速度20kmの道で、怪我の様子からして犯人の車の速度は50km。だが倉田は気付なかったので、徐行で静かに近づき、一気にアクセルを踏んで倉田を狙った可能性が高い。

倉田は天井の一点を見つめ「ここにいたくない。辞めます。退院して他の病院に入院します」と怯えた様子で、話しかけても大矢を見なかった。

犯人はリカだが証拠はない。動機もないからリカはいつも安全圏にいる。退職届が送られて以来、連絡は途切れ行方不明だ。

事故から5日後に倉田が退院してから1週間は何も起きなった。原口を婦長にして看護婦数人を補充した。大矢の私的流用も院長になったことでうやむやになった。真由美はと頻繁に連絡を取り合い無事を確認した。

■最終回ネタバレ結末1.【★】真由美が・・・

最近、柏手医師の様子がおかしい。顔色が悪く大量の汗をかいて体調を崩している。風邪か?

一方、真由美は婚約後、大矢の母親は娘がいないこともあり仲良くなった。そして日曜日から埼玉の上尾で、栄応医大の伝統の3泊4日の集中研修会が行われる。実際は単なる研修医同士の親睦会だから真由美は意味ないと愚痴る。

土曜日、柏手医師が体調不良を理由に休んだ。仕事を終えて外に出るともう夜。駅までの帰り道、柏手医師に似た顔を伏せてる男性を見かけた。

日曜日、真由美は集中研修会に最中だ。電話すると留守電だったがメッセージは残さなかった。

月曜日、朝の婦長とのミーティングで、美容整形外科病棟の玄関の照明がついたままになってるのを今朝職員が見かけたと知る。

叔父の発案で新設した美容整形外科病棟は花山病院の裏手にあり、建物は完成済みだが診察開始は叔父の後輩が外科部長で着任する来年1月から。カギを持ってるのは建設会社、庶務課、柏手医師だけだ。その柏手医師は今日も休みたいと電話があった。
 
そんななか真由美の父親が、真由美が研修をさぼって大矢と一緒にいると思って電話してきた。真由美は研修に行ってない?心配になった大矢が真由美のケータイに電話するが留守電だった。

18:00 朝から20回以上電話したが真由美は出ない。そのままケータイを見つめてると21:30過ぎに突然電話が鳴った。柏手医師だった。直感で美容整形外科病棟の窓を見ると、ついていた照明が不意に消えた。

急いで向かうと玄関だけ照明がついていて中に入った。手術室にいた柏手医師は泣きながら嘔吐していた。リカに嫁の敏子と娘の凪子を誘拐され「言われた通りにした。全て要求に従った。院長もここへ呼んだ」「どこにいるか教えてくれ頼む頼む頼む」と絶叫している。

柏手医師が部屋の隅にある冷蔵庫サイズの高圧蒸気滅菌器を指さした。中を見ると人間の頭部があり大矢は嘔吐した。顔の表皮がキレイに剥がされてるので人相はわからずまるで人体模型だ。

見覚えのあるウエーブのかかった黒髪とパールのイヤリングから、真由美の頭部だとわかった。

柏手医師によると、金曜の朝に嫁と娘をリカに誘拐され、誰もわからない場所に閉じ込められた。「命令に従わなければ自分は姿を消す」「警察が2人を発見する頃には死んでる」と脅された。

リカの要求は自分の顔を変えること。見本と同じ顔にしてほしいと言うので芸能人の写真を持ってくると思っていたら、バッグに目を開いたままの真由美の頭部を入れて持ってきた。

柏手医師は手術前に嫁娘の場所を聞いてリカに麻酔をかけてるあいだ警察に通報するつもりだった。しかしリカは見透かし、逮捕されても何日でも黙秘する、そうすれば嫁と娘は死ぬと脅してきた。

リカは真由美の顔の皮膚をメスで切り取り、パックのように自分の顔にかけた。手術が終わったのは昨日の午後で、意識を取り戻したのは今朝8:00頃。夜になったら大矢を呼ぶよう指示された。大矢が来たら嫁娘の居場所を教えると約束された。

■最終回ネタバレ結末2.【★】大矢の最期

顔中を包帯で巻いたリカが現れた。手術後まだ1日しか経っていないから強烈な痛みがあるはずだが「リカきれいになったの」と笑っている。異常な回復力だ。

大矢はリカにつかみかかってねじふせると、リカは叫んで身をよじり腐臭の血の臭いが充満した。大矢は柏木医師にケータイで警察に通報するよう命じたが、柏木医師は大矢の肺をメスで刺してしまった。

嫁娘の居場所を教えてくれと懇願する柏手医師にリカは、嫁娘を閉じ込めてる人に開放するよう伝えるからケータイを貸してと頼んだ。柏手医師が必死にケータイを探して差し出すと、大矢を刺されて怒ったリカが喉をかっきって殺した。

リカが大矢を抱きしめると顔の包帯がほどけて、顔ではなく異様に腫れあがった肉の塊が見えた。内出血してるから、針で刺したら血と膿が飛び散るに違いない。

肺を刺された大矢は意識が遠のいていき、看護師の新規採用を決めたあの日のことをを後悔した。違う日でもよかったのに
なぜ・・・?大矢は死んだ。

■最終回ネタバレ結末3. リカのその後

リカは血痕を片付けるのは面倒だったので病棟をすべて燃やして証拠を消した。

真由美の頭部、柏手医師の遺体はバラバラにして車で運んで、真由美の胴体と柏手医師の嫁娘も埋めてある山に埋めた。

大矢の死体はそばにいてほしいから持ち帰り、ずっと話しかけて何度もキスしたが死んでるから返事がない。腐った肉の臭いは嫌いだから、頭部を切り取って冷蔵庫に保管したが、頬ずりしても冷たい。

恋人同士の別れといえば一番ロマンチックな海に、バラバラにした大矢の死体を捨てた。

頭部だけは捨てられず話相手にした。会話はできないがそれでいい。結婚や子供、仕事など将来の夢など話しかける。ずっと一緒にいたい。

もしまた恋することがあったら、相手には自分より長生きしてほしい。目も鼻も口も手足もなくても生きれてればそれでいい。

★終わり
 
 

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