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映画「三度目の殺人」を結末まで見ても、結局犯人が誰なのか?器とは何なのか?意味不明という人のために、ネタバレ解説します。
「三度目の殺人」の監督の是枝裕和監督は「そして父になる」でも結末をはっきりさせず観客にゆだねました。今回も同じで、犯人について色々な解説ができます。
犯人と器だけでなく、三隅(役所広司)が供述をかえる理由、不倫、3人で雪合戦、カナリア、十字架の意味、など伏線や意味不明なことはたくさんあるのでそれぞれネタバレ解説します。
目次
●映画「三度目の殺人」ネタバレ解説!まず人物紹介
■三隅(役所広司)
30年前に2人殺してる。被害者は、炭鉱がなくなって溢れた失業者たちに高利貸しして酷い目にあわせていたヤ〇ザ。
現在36才の娘が北海道の留萌(ルモイ)に住んでいるが、服役していた30年間会ってない。殺人犯の子として辛い目にあった娘は「あんな人死んでほしい」と言っている。
■咲江(広瀬すず)
生まれつき右足が悪くひきずって歩く。14才から父親(三隅が殺した工場長)にレ〇プされていた。
咲江と三隅の出会いは去年2月15日の大雪の日、三隅が河川敷で焚火をしていて、咲江が通りかかったことがきっかけ。
咲江が誕生日だと言ったら「雪でケーキ作ろう」と三隅が誘い、携帯で2ショット画像を自撮りして親子のように仲良くなった。三隅にとって咲江は娘の代わりの存在となった。
咲江は14才から父親にレ〇プされたことを三隅に話した。「殺してくれ」とは頼んでないが、心のどこかでそう思っていたことが三隅に伝わった。
■重盛弁護士(福山雅治)
14才の娘ユカがいるが、親子関係はうまくいってない。嫁とも離婚危機。
■被害者の嫁の美津江(斉藤由貴)
旦那が娘をレ〇プするのを見て見ぬフリしていた?
殺された旦那(工場の社長)は、食品偽装をしていて、美津江も知っていた。
●映画「三度目の殺人」ネタバレ解説!犯人は?
映画「三度目の殺人」の犯人は誰なのか?あいまいな結末にしてるので見る人によって解釈がわかれるのですが、いくつか犯人説があるので解説します。
■犯人は三隅(役所広司)説
三隅は犯行後、タクシーの車内映像に映っていました。
そして殺した社長から盗んだ財布にガソリンのシミがあったことから、死体にガソリンをかけたあと、燃やす前に財布を抜き取ったとわかります。火をつける前に「強盗殺人に見せかける」ことを思いついたのでしょう。
★動機は?
父親(工場の社長)のレ〇プから咲江を救うため。
三隅はもともと実の娘に対して父親らしい事を何一つ出来なかった罪悪感がありました。咲江は実の娘と同じく足が悪かったので、娘の姿が重なり、守ってあげたくなった。
■犯人は咲江(広瀬すず)と三隅(役所広司)説
回想シーンで、返り血を浴びている咲江と三隅が死体を燃やていました。
まず咲江が河川敷にある大きめの石で父親を殴り、三隅も加勢したと思います。
★咲江動機は?
自分をレ〇プする父親への怨恨です。
工場社長の死体を燃やしたのは三隅の考え。司法解剖から咲江が犯人の1人だとバレないために。
■犯人は咲江(広瀬すず)
咲江が殺したあと、三隅のアイデアで死体を燃やしました。
■犯人の黒幕は美津江(斉藤由貴)ではない
三隅は二転三転するなかで美津江の依頼で殺人をしたと供述します。
しかし美津江は旦那の死後、黒幕だと思われて保険金がおりないことに困りますが
咲江が美津江に「あれは殺人の依頼じゃない、食品偽装の・・・汚いお金。工場つぶれちゃえばいい」と言っっています。
対する美津江は「裁判では余計なこと言わないでよ」「工場のこととか、お父さんのこととか」「お父さんだけが悪いわけはないでしょ」と娘に釘を刺しています。
裁判でも殺人の関与を否定し、三隅が受け取った50万円についても「旦那が勝手に私の名前を使って送金した。犯行後1000万円を渡す約束もしてない」と否定。
母娘2人きりのときに咲江が「あれは殺人の依頼じゃない」と言ってるので、殺人依頼はしてないです。
●映画「三度目の殺人」ネタバレ解説!三隅(役所広司)が供述を変えた理由は?
三隅の供述はどんどん変わっていきました。
■以前から殺そうと思っていた(金目当ての強盗殺人)
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■やけになって殺した
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■被害者の嫁・美津江に頼まれて殺した。
預金通帳には10月の頭に50万円の振り込みがあり、これは殺しの報酬の前金。殺人依頼は犯行2週間前に携帯のメールで届き「私のことは黙ってて。悪いようにはしないから」など。犯行後も一度公衆電話で連絡をとっていた。(美津江が主犯の共謀殺人)
※理由➝三隅は、夫が娘をレ〇プするのを見て見ぬフリした美津江を裁こうとした。
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■本音では社長殺しを後悔しておらず「あんな奴殺されて当然だ」「生まれてこなかったほうがいい人間はいるんです」
※理由➝実の娘・咲江をレ〇プしたから
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■咲江が、父にレ〇プされ「殺してくれ」という気持ちが三隅に伝わったと証言する意志を三隅に伝えると「咲江は嘘つきだ」と否定。
犯行当日、三隅は「偽装のことで大事な話がある」と社長を誘って河川敷まで連れていった。
月に1度、工場は出どころ不明の小麦粉をタダ同然で仕入れて食品偽装をしていた。50万円はその偽装に対する金だった。
※理由➝咲江が証言すると、咲江も罪に問われるから、自分だけが罪を被るため。
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■「私、河川敷には行ってません。本当は殺してません」
「やけになって脅して金をとろうとして、社長を工場前で待ち伏せしたが、河川敷には行ってない、殺してない」
「当初から否認しました。刑事にも弁護士(摂津)にも最初は否認しました。でも『嘘つくな、認めれば死刑にはならない』と言われて」「あの工場で人の弱みにつけこんで生きてるより、刑務所のほうが嘘つかないで済むから」
財布は盗んだ。偽装のことばらすと社長を脅して、その金は娘に送った。火傷は前の晩に焚火して火傷した。
※理由➝こうすれば咲江は証言台に立つことはない。誰も三隅を信じてないから死刑になって自分だけで罪をかぶることができる。
●映画「三度目の殺人」ネタバレ解説!三隅と美津江は不倫関係だった?
これは三隅が、殺人を依頼されただけでなく不倫関係だったと匂わせただけで違うと思います。
実際、美津江と男女の関係を尋ねると三隅は否定も肯定もせず照れてるだけ。
美津江は、駅前で三隅と2人きりでいたとマスコミから取材されるが、違うそれは会社の忘年会だと否定しました。
●映画「三度目の殺人」ネタバレ解説!3人で雪合戦していた?
咲江と三隅と重盛が雪合戦しているシーンがあります。
三隅は咲江を娘の代わりに想い、
咲江は三隅に優しい父親像を求め、
重盛にも三隅と同じように関係がうまくいってない娘がいます。
雪合戦は事実の回想ではなく、そんな3人の想いを重ねてできた幻想のようなものだと思います。
●映画「三度目の殺人」ネタバレ解説!十字架の意味
犯行現場の焼け跡は十字架のかたちでした。
そして犯行前に三隅が埋めたカナリアの墓も十字架のかたちでした。5羽は殺して、1羽は逃げています。
重盛が十字架の意味を三隅に尋ねると
「裁くのは私じゃない。私はいつも裁かれるほうだから」
「カナリアが1羽だけ逃げたのは、わざと逃がした」
「人の命をもてあそんだ人がいたら理不尽だと言ってやりたい」
「父も母も嫁もなんの落ち度もないのに不幸になって死んだ」
「彼らの知らないところで命は理不尽に選別されてる」
「人の命を自由にできる裁判所に憧れていた」
と答えています。
カナリアを1羽逃がしたことは=咲江を父親から救い、裁判や殺人の罪から逃がした。という意味だと思います。
●映画「三度目の殺人」ネタバレ解説!器とは?意味不明?
■30年前の事件で「空っぽの器」
三隅の動機は公式には怨恨ですが、供述が二転三転して実際よくわからない。当時の三隅を渡辺刑事は「感情のない空っぽの器」と表現してました。
当時、炭鉱がなくなって溢れた失業者たちに、ヤ〇ザが高利貸しして酷い目にあわせていた。そんな背景があり死刑を回避するため弁護士が動機を怨恨ということにしています。三隅に個人的恨みはなかったから逆に不気味だったと。
■工場社長殺しでも「器」
裁判で死刑判決が確定し、服役中の三隅に面会して重盛は「あなたはただの器?」と言っています。
■「器」とは?
いきなり器と言われると意味不明ですが、
器の意味は、三隅自身は考えはなく空っぽで、他人の想いを入れる器となり、代わりに殺人を犯すということだと思います。30年前は高利貸しに苦しんだ人たちの想いを、そして今回は父親にレ〇イプされた咲江の想いを。
空っぽの器でしかない三隅には人格さえないようで、30年前に逮捕した刑事は不気味に映ったのでしょう。
●映画タイトル「三度目の殺人」の意味は?
そもそも「三度目の殺人」の意味とはなんでしょう?この解説もいくつか説があります。
■三隅が3人殺した説
三隅は30年前に2人殺してるので、工場社長で「三度目の殺人」という解説です。
■3人それぞれ殺した説
一度目の殺人の犯人は三隅、二度目の殺人の犯人は咲江、三度目の殺人の犯人は重盛という解説です。
一度目の殺人は、30年前に三隅が2人殺した事件。
二度目の殺人は、咲江が父親が殺し、三隅が死体を燃やした事件。
そして三度目の殺人は、重盛が弁護人を務める裁判で、司法が三隅を死刑にしたこと。
重盛は、咲江をかばって1人でやったという三隅のために真実を殺し、結果、弁護しきれなくなり死刑になってしまった。裁判官・検察・弁護人も裁判の効率化を優先して、死刑ありきで進めた。これが司法による三度目の殺人。
●最後に
結局は、人それぞれで解釈が分かれるのですが、これで少しはモヤモヤがすっきりすると思います。
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