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女優の武井咲さんが、松本清張さん原作『黒革の手帖』の続編スペシャルドラマ【黒革の手帖~拐帯行(かいたいこう)~】で3年ぶりドラマ復帰すると9月2日に報じられました。
『黒革の手帖』は米倉涼子さんなど大物女優主演で何度も映像化されてる名作。3年前の2017年夏、武井咲さんは『黒革の手帖』史上最年少の主演に抜擢され、稀代の悪女・原口元子役を好演して大きな話題となりました。
そこで、2020冬に放送される続編スペシャルドラマ【黒革の手帖~拐帯行(かいたいこう)~】の原作を読んだのであらすじネタバレ結末まで紹介します。
『拐帯行(かいたいこう)』は1959年2月発売の松本清張さんの短編集『危険な斜面』に収録された短編小説。これまで1959年に日テレのスペシャルドラマで、1988年いフジテレビのスペシャルドラマで映像化されています。どちらも随分昔ですね。
元子(武井咲)の復活がどう描かれるのか?原作あらすじネタバレ結末まで紹介するので、興味ある人は参考になったら幸いです。
目次
●武井咲【黒革の手帖~拐帯行~】ドラマあらすじ
メガバンクから横領した1億8千万円と借名口座のリストが記された“黒革の手帖”を武器に、銀座の頂点に上り詰めた元子だったが、連ドラ最終回では彼女のもとへも警察の手が…。みずからの野望のためだけに突き進んだ若きママでだったがついにどん底へと転落してしまった。
そして3年の時が経ち、時代は平成から令和に。刑期を終えた元子が、新たなスタートを切るところから物語は始まる
1958年に松本清張が発表した短編小説『拐帯行』をもとに、古都・金沢で“稀代の悪女”が躍動。
すべてを失った女が、再び頂点を目指し、はい上がっていく。
引用:オリコンニュース
●武井咲『黒革の手帖~拐帯行~』原作あらすじネタバレ
原作である松本清張さんの短編小説『拐帯行(かいたいこう)』の登場人物は、森村隆志と西池久美子のカップルがメインです。
■登場人物
● 横領の犯人・森村隆志
● 隆志の恋人・西池久美子
● 老夫婦
● 検事
ここから原作あらすじネタバレになります。
■2人で九州旅行へ
1958年(昭和33年)
ある土曜日。
森村隆志は会社から横領した現金を手に入れ、そうとは知らない恋人の西池久美子と東京駅から博多行きの特急列車『さちかぜ』に乗って九州へと向かった。
コレは2人の死に場所を求めての旅。隆志は手帳に『博多、阿蘇、日奈久、鹿児島の指宿(イブスキ)』と旅のコースを記してある。
■森村隆志と西池久美子
森村隆志は、長野と山梨の県境の山奥にある農家の三男。父親から仕送りはなく、実家は兄夫婦のものになった。帰郷したのは父の葬儀だけだ。
西池久美子は両親がおらず5年前から叔父のもとで育てられた。来年に公務員を定年退職する叔父はケチで、叔母は久美子の給料の大部分を取り上げる。白い目で見られ息が詰まる暮らしで、久美子は希望がない。
隆志は久美子に出会い、同情から生まれたカップル。生きていても仕方がないから心中する。
■タイムリミットは四日間
土曜日に横領した理由は、最速で発覚しても月曜日だから、警察の捜査から時間稼ぎができる。
旅先に九州を選んだ理由は、縁もゆかりもない九州なら、逃亡先として連想されず、捜査の手は及ばないだろう。
タイムリミットは四日間。隆志はそれまでに久美子と心中するつもり。
■中年夫婦との出会い
途中、熱海駅で斜め向こうの席に中年の紳士と嫁らしい女性が座った。老紳士はパイプをくわえ、女性はおだやかな上品さを湛えていた。生活も十分安定して幸福そうに見えた。
隆志は、久美子と密着してるのになぜか妙な距離を感じた。
日曜日。博多に到着したとき、隆志は老紳士と目が合って慌てた。
■最後の贅沢をするが・・・
駅を降りると、隆志と久美子は2人とも貧乏な汚い服装だったので、客引きに小さな旅館に案内された。
悔しくなった隆志は久美子とデパートに行って高級な服を買って着替え、旅館に戻って番頭と女中を驚かせて内心「ざま見ろ」と気を晴らしたところで、旅館を出て博多で一番の高級ホテルに偽名で宿泊した。
金の出どころについて隆志は久美子に「退職金をもらった」と嘘ついた。
翌朝(月曜日)博多から熊本の阿蘇へ向かった。今日中に会社が横領に気付いて警察に通報、捜査が始まるだろう。
午後の遅い時間、阿蘇に到着し、観光バスで登山した。火口の上は褐色の絶壁で、煙で下は見えない。2人で自殺者について語り合った。
下山して坊中駅のタクシー運転手に聞いて宿泊した白い壁のホテルは、宿泊客に外人夫婦もいたため、映画の登場人物になった気がした。
贅沢な部屋に久美子は「夢みたいだわ」と感動した。雲仙が見えてずいぶん遠い場所に来たと実感した。
夕食のあと2人で散歩すると、久美子が『闇をくぐって二筋に 1つは暮れる山に入り 1つは遥かの海に行く』という甘美で不吉な詩を詠み、死ぬ時が近づいてる不安を感じた。
ホテルに戻る暗闇のなか、すれ違ったカップルが、列車で見た中年夫婦に見えた。なぜか気持ちの崩壊を感じた隆志は、やるせない気持ちを晴らすためホールでジルバを踊った。
翌日(火曜日)阿蘇から熊本に行き、城など観光した。
午後の列車で南へ下りて数時間後、日奈久駅に到着し、海に近い旅館の一番上等な部屋に宿泊した。
2人で海辺を歩くが、あと2日で死ぬとわかってるため久美子も元気がない。死ぬ前の豪華な旅行は人生最後の充足を期待したのに、全然楽しくない。こんなに気持ちが沈むなんて意外だった。
こうなった理由はきっと、自分より勝ってる充足してる生活を送るあの中年夫婦の影響に違いない。
■中年夫婦と再会
深夜2時。突然、警察がホテルの各部屋を見回りに来た。
隆志は横領の犯人だから緊張が走る。久美子は隆志の横領を知らないので、家出人の捜索で来たのかと心配する。
しかし警官は隆志と久美子を見ると「失礼しました。もうけっこうなので寝てください」と去っていった。女中によると事件が起きて犯人は若い夫婦だったが、結局ホテルに犯人はいなかったという。
朝(水曜日)、庭にあの中年夫婦がいた。安定した生活が様子に溢れてる。
隆志は中年夫婦を見て「あんな人生もある!」と感動して涙が出そうになり、隆志と久美子に気付いたか中年夫婦が微笑を見せると、隆志は希望が湧いてきた。
■隆志と久美子の結末
鹿児島の指宿(イブスキ)の旅館でも中年夫婦に出会い、世間話をした。部屋に招待してもらいご馳走になった。
このとき隆志は中年夫婦から勇気をもらい、死にたい気持ちよりも死にたくないという想いの方が強くなっていた。
安定して充足してる中年夫婦のことが羨ましく、あういう人生をいつかは持ちたいと思った。
横領の罪を償ったあと懸命に努力すれば人生をやりなおせると思ったので、心中はせず、東京に戻って隆志は自首した。
■どんでん返しの結末
検事は不思議なことを言った。
「あの夫婦は君たちのほうを羨ましがっていたかもしれないよ」「何の心配もなく、無邪気に若い青春を楽しんでるように見えたに違いない。」
実は中年の紳士は、会社の金を1000万円以上横領した犯人だった。
嫁だと思っていたのは愛人でバーのマダムだった。
若い隆志と久美子は勇気をもらって東京に帰ったが、中年2人は部屋で薬を飲んで心中自殺した。
ショックで言葉を失った隆志に、検事は執行猶予を言い渡した。
★終わり★
●武井咲『黒革の手帖~拐帯行~』原作とドラマの違いは?
原作『拐帯行(かいたいこう)』は『黒革の手帖』に全然関係ない物語ですが、ドラマでは『黒革の手帖』の続編として描かれます。
『拐帯行』では横領犯の隆志が、久美子と心中するため九州旅行に出かけます。
ドラマではすべてを失った元子(武井咲)が再び頂点を目指して這い上がっていくという全然ストーリーですね。
● 横領した現金で恋人と九州旅行に出かける
● 旅先で出会った老夫婦に影響を受ける
● 改心する
原作のこの3点を取り入れてアレンジした脚本になりそう。
原作の結末では隆志は心中を辞めて横領の罪を償って人生やり直すと決めました。
ドラマの結末は、元子(武井咲)が心中はないにしても、横領の罪を償って人生やり直すことにする結末はありえると思います!
●まとめ
武井咲さん主演『黒革の手帖~拐帯行(かいたいこう)~』の原作あらすじネタバレ結末を紹介しました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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